インタビュー

漫画家✕ホスト SPインタビュー 

ホストでありながら全く異なる道で活躍している才能溢れる人物を紹介していく人気企画。今回はヤングアニマルで誌面デビューを飾った漫画家の愛島セシル君に迫ります。なぜ彼は二足のわらじを履くのか?じっくり話を聞いてきました

金よりも“経験”
人として成長できる場所
地元の静岡県でずっとプロボクサーを目指していたんですが、視力が落ちてしまい断念することに。その後は誰もやってそうにないサックスに挑戦してみたりしたんですが、3ヶ月で挫折してしまいました。そんな時、兄の勧めで「ジョジョの奇妙な冒険」を読んだんです。その絵を見た瞬間に衝撃が走り、もっとこの先生の事を知りたいって思いました。漫画家になりたいではなく、この先生に会いたいという思いの方が強かったですね。でも会いたいからスグに会えるわけでは当然ないので、どうしたら良いのか考えた結果、〝同じ土俵”に立てば会えるのでは?と。

フットワークは元々軽いので、とりあえず専門学校に通う事にしたんです。学生時代は本当にビンボーでした。2年間洗濯機とレンジがないままでしたよ(笑)。朝8時~21時まで学校で、22時~は朝方までコンビニでバイトする毎日。授業では周りのレベルが高くて自分の力のなさに悔しくて泣いたこともありました。でも、それでも漫画家を諦めようとは1度も思った事はありませんね。「絶対に漫画家になれる」って根拠のない自信だけはあったので(笑)。

卒業後もコンビニバイトは継続しつつ、空いた時間は作品を作り、ときにはアシスタントとして先生の元で勉強も兼ねて絵を描き続けました。けどふとした瞬間に「なんの為に描いてる?」「本当にこれで成長できるの?」なんて思い始めてしまったんです。漫画だけに専念できる資金とコミュ障だった自分も嫌だったので、思い切って人との関わりが強くて稼げそうなホストに挑戦してみることにしました。いくつかのホストクラブで体入してから、フィーリングがすごくあったtwelveに決めました。会長や店長の人柄とお店のコンセプトに共感したのが理由の1つです。あっ宣伝みたくなっちゃいましたね(笑)。とにかく、ここで1年間みっちりやっていこうと決めたのが去年の7月でした。

漫画とホストの共通点は
「楽しんでもらう」こと
思っていた通り、人と接する機会が多くなって、毎日刺激を受けています。対〝人”ですから、一人ひとり考えてることも違いますから簡単ではないですよね。でもそれが楽しかったりもするんです。最初は売上ばかりを気にしてたんですが、今は来てくれたお客さんが、ここで楽しんでもらえて明日頑張ってくれたらという気持ちで接客させていただいています。

ホストと漫画って正反対の位置にあるかと思いきや、重要な部分は似てるんですよ。それは「楽しんでもらう」ことです。ホストはお店に来て、僕という商品を楽しんでもらいますよね。自分自身が商品ですから、身だしなみ、言動、おもてなし方など、全てにおいて丁寧に接しているつもりです。高いお金を払って来てくれるわけですから、中途半端な事は出来ません。限られた時間で満足していただけるようにお店全体でも取り組んでいます。漫画も読者に満足してもらえるように、画力を上げ、引き込まれるストーリーを考え、たくさんの人に「楽しんでもらう」事ですからね。僕の漫画を受け入れられない方も当然多いと思います。ただ気に入ってくれた方に対して、裏切るような事は決してしたくはないんです。なので、いろんな刺激を受けインスピレーションを活性化させてくれるホストの仕事は、僕にとって間違いなくプラスになっています。コミュ障改善と資金作りのために始めたホストでしたが、なかなか奥が深くて毎日が楽しいです。いまは「お金 <人生経験」かもしれません。

 

撮影後記
取材時に生原稿を持ってきてもらったのですが、鳥肌が立つほどの大迫力。精魂込めて描いているのが素人ながら感じる事が出来ました。漫画家として本格的なスタートを切った杉山先生をMIAMIは全力で応援していきます!

 

愛島セシル Cecil Aijima
26歳・7月22日・173センチ・A型 LINE 1430722
●昨年の12月8日に発売された「ヤングアニマル」にて、特別読切「メイヤー・オブ・ヘルランド」が掲載。漫画家として大いなる一歩を踏み出した記念すべきデビュー号。 ペンネームは本名の杉山惇氏

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