インタビュー

素顔 ANARCHY 流行 流夜

知られざる驚きの経歴や人並み外れた経験をしてきたホストをクローズアップする人気企画の「素顔」。ホストとして振る舞う普段の顔ではなく、イチ個人としてありのままの姿を見せてくれた

失敗で終わらせない
2回売れたら本物

自分は出身が大阪で、高校卒業後すぐにキャリアスタートし1年半ほどホストを地元でやっていました。ただ最初は美容師になりたくて、美容の専門学校に進学するか美容院で働きながら通信で資格を取るか迷っていたんです。

それで美容師をしている先輩から実際の仕事内容や待遇などを聞いたのですが、知れば知るほど理想と現実にギャップを感じて、美容師になることを諦めてしまいました。

それで以前から興味があったホストをやってみようと思ったんです。ただ実際に働いてみたらホストも甘くはなく、とにかく新規のお客様を掴むのに苦労して、世の中に楽な仕事なんてないとわかりました(笑)。

当時はがむしゃらに「やるしかない」という心意気でやっていて、しんどい思いもしましたが、今思えば毎日楽しかったですね。

20歳になり、お店でNo.1も獲れるようになったので、自分が歌舞伎町でどれだけ通用するか試したかったので、思い切ってお店を辞めて上京。

それで某大手グループの直営店に入店し、歌舞伎町で再スタートしたんです。もちろん最初は失敗も多かったですが、他のキャストと比べてノリの違いやウケの良さは手応えがあったので、大阪での経験が活きていたと思います。

そのお店が働きやすい環境だったこともあり、気が付いたら20歳から10年が経っていました。自分で言うのもなんですが、その頃はもうベテランとしてお店で重要なポジションにいて、ありがたいことに売上は1ヶ月で最高1900万円という結果も出せていたんです。

20歳から30歳まで本当に様々な経験をさせてもらいましたが、その10年間で変わらず大切にしていたことは「自分にできることは何でもやる」という精神でした。

例えばブログも頻繁に更新していましたし、SNSも現在ほど流行っていない頃から手を付けていて、メディアにも積極的に出るように心がけていました。

当時の10年間を振り返ると、業界は昔と比べてかなりクリーンになった印象です。それとSNSが流行ったことにより個人で出来ることが増えたので、ホストとしては自分の見せ方や営業の幅が増えました。

30歳になった時、グループの会長から直々に「大阪にお店を出すから行ってほしい」と伝えられたんです。環境が変わることに不安もありましたが、グループのためにも僕が行った方がいいと思い、そのお話を受けさせていただきました。

自分を含めて5人ほどが大阪進出のメンバーに挙がり、去年の1月にプレオープンを迎えたんです。歌舞伎町から来たホストとして変にカッコつけていると思われたくなかったので、飲むパフォーマンスには特に力を入れてました。

例えば当時、シャンパンペールに注がれて捨てられるはずの大量のシャンパンを僕1人で全部飲み干すというパフォーマンスをやっていたんです。

 

毎日二日酔いになりながらも続けていたら次第に話題が広がり、いつの間にかそのパフォーマンスを目当てに訪れるお客様がどんどん増えたんです。

しかし僕ももう若くないので、そんな飲み方には限界を感じてはいました。数ヶ月後、また歌舞伎町に戻って再出発したいと思い、今までお世話になったグループを離れることを決意。それでお店を辞めて再び歌舞伎町に戻り、心機一転どこで働こうと考えたときに思い出したのが、アナーキーの帝オーナーだったんです。

帝オーナーとは以前から知り合いだったこともあり、実際にお会いして話をさせていただきました。その時にアナーキーの魅力や今までと違う楽しみがあると感じたので「ここで働かせてください」と言ったら快く受け入れてくれました。

去年からアナーキーに入り、連日大賑わいでお客様がたくさんいたので、さすが帝オーナーだなと感じたのを覚えています。

そしてアナーキーで働き始めてしばらく経った頃、今年の7月に事件が起こりました。その当時は生活に困っていたわけではないのですが、自分の中で悪い欲が出てしまい、とあるお客様から結構な額のお金を借りていました。

一応返済は毎月していたのですが、こちらの手違いで6月分の返済が遅れてしまったんです。それでそのお客様が怒ってしまい「もう全て晒す」といい、僕がお金を借りている旨に加えてプライベートの写真をネットで拡散されてしまいました。

その時は具合が悪くなるほど後悔しましたし、お客様に本当に申し訳ないことをしたという気持ちでいっぱいになりました。そのお客様とはもう切れてしまいましたが、当時のことは本当に反省しています。

その炎上した件を受けて周りは心配して声をかけてくれましたが、ただ当然他のお客様からの追及もありましたし、一時期は仕事もずっと休むほどうつ状態がひどかったです。

このままではダメだと思い、帝オーナーに相談した時に「2回売れたら本物だよ」と言われたんです。実際この業界で1度落ちた人がもう1度売れるのってほぼ聞いたことがなかったので、そこでホストをまたイチから頑張って再起をかけることを決意しました。

そして事件から4ヶ月ほどが経った現在、1人ひとりのお客様に対してしっかり感謝の気持ちを持って接することを大切にして取り組んだ結果、ありがたいことに少しずつ売上も上がってきています。

もちろん失敗しないに越したことはありませんが、失敗のまま終わらせるのが1番ダメだと思うんです。そして僕はまた2回目の成功を果たした時に、「あの頃失敗したからこそ今の自分がある」と言えるようになりたいと思っています。